2月22日、東京は水道橋にてシンポジウム 「インプラントのサイレントリスクを検証する」 に参加しました。暴風雪で大荒れの北海道とうって変わり、東京は穏やかな晴天で、JR御茶ノ水駅からは梅の花が満開に咲いてたのが見え、春を感じさせる陽気でした。
主催側の インプラントを考える会 は、名古屋開業の原正幸先生を中心とした総勢100名近い臨床歯科医の集団で、月1回原先生のオフィスでインプラント症例会を開いては疑問点や注意点などをディスカッションしている・・・と教えてくれたのは、偶然にも会場で一緒になった名古屋開業の同期の 冨田真仁先生で、彼も考える会のメンバーでした。
午前中は 浮き彫りになってきたインプラントの問題点 と題し、5名のプレゼンテーターが、インプラントの基礎と臨床のそれぞれの疑問点についてプレゼンし、それをコメンテーテーである、東京歯科大学臨床検査学 井上孝教授 松坂賢一准教授 のお二人が応えるという形式だった。
井上教授は、学生時代に病理学を教えてくださった先生の一人で、当時から インプラントは生体にとって異物である と提唱し続けてきたインプラント病理学のプロフェッショナルである。ただ、単なるインプラント反対者では無く、今回のコメントでも、骨(顎骨)や軟組織(歯肉)に対するインプラントの生体親和性と逆の炎症反応について、病理組織学的にとても判りやすく解説して戴きました。
座長を務めた一人 前岡一夫先生は、実は学生時代の部活の大先輩だったことを、偶然一緒になった後輩の井本先生がこっそり教えてくれました。その後、富田先生が改めて紹介してくれた時は、本当に世の中って狭いんだなぁ、と思いました。
午後からは、長期症例から見えてきたインプラント治療を検証する というテーマで、井上教授と東京都開業の武田孝之先生が加わり、 インプラント臨床を点→線・面で診る重要性 と題して講演されました。時間軸を中心に、インプラント治療を終えた時(点)から健康であれば年齢を重ね(線)、その中でさまざまな加齢による疾患(面)が加わった際の注意点について、インプラント臨床を長く診てこられたお二人ならではの発表を聴講しました。
そして、 時間軸で観たインプラントのリスクを再考する と題して、原正幸先生の貴重な臨床例を数多く見ることができました。インプラント長期症例を拝見し、口腔内で長期に維持するには、天然歯と同じでしっかりメンテナンスすることがいかに大切か、改めて考えさせられました。
井上教授のスライドの中で、インプラント治療を行う臨床医に必要な 根拠ある適応症の選択と正しい手技 という文字がとても印象的でした。EBM(科学的根拠に基づく治療)の重要性を改めて再認識した貴重な1日でした。
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余談:帰りの飛行機は1時間遅れで新千歳空港に到着しました。機体が九州からの便だったため、他の北海道から来た機体を使用した便(2,3時間遅れ)と比べてこれでも早く着きました。着きさえすればどうにかなる ということも今回学んだような気がします。