12月12日(日)、㈱アストラテック主催による、出版記念講演会「サイナスフロアエレベーションの落とし穴」 に参加しました。今回の演者は本の著者でもある 野阪泰弘先生 です。今年参加した㈱アストラテックインプラント研修会の講師も務めてた先生であり、㈱モリタ社のCT 3DX を使ったCT画像を多く紹介していたので興味があっての参加となりました。
今回は ㈱モリタ社のCT 3DX を使った上顎洞周囲のインプラント治療の診断に特化した講演となりました。
サイナスフロアエレベーション とは、インプラントを上顎骨に行う際に必要な上顎洞側への骨造成術のことをいい、サイナスリフト と ソケットリフト の2種類があります。
上顎洞という空間は上顎臼歯の真上に存在する骨で覆われた人体最大の空洞です。自然孔という穴から鼻腔と交通し、鼻から入った埃や細菌を外に排出するため、上顎洞の内側は繊毛上皮に覆われた粘膜が存在します。
この上顎洞粘膜はとても腫れやすく、サイナスフロアエレベーション を行った後、上顎洞内でもの凄く腫れます。野阪先生 は、このもの凄く腫れる現象を 爆発する と表現していました。それは、サイナスリフト を行った際の術後1週間のCT写真で説明してくれました。中に入れたはずの骨補填材が上顎洞粘膜の腫脹によって、トラップドアから外側に押し出された状態のCT画像を見た時は、その上顎洞粘膜の爆発の凄まじさが実感できました。
ソケットリフト でも、同様の現象が起き、術式的にダメージが少ないと思われていててもやはり上顎洞粘膜が腫脹することが判りました。
また、インプラント以外の症例も紹介し、中でも上顎大臼歯の根尖病巣を形成した症例では、骨を一層介して上顎洞粘膜に腫脹が及んでるCT画像なんかは初めて見ました。
今までの歯科用パノラマX線写真では診断の限界があり、上顎洞を正確に見ることが出来ない場合があります。インプラント治療の術前は必ずCT撮影を行い、診査診断してますが、術後に関しては従来のレントゲンで調べてるに過ぎません。
今回の 野阪先生 の講演会で知った 術後の状態は大変参考になりました。この本も購入したので、末長く使わせて頂きます。